FarPointe Outdoor Gear TecnoWool Cruiser テクノウールクルーザー フードとドローコードのディテール - 山道具とULギアのお店 Ascend Lite

テクノウールとは?ウールを約40%混ぜた超軽量フリース生地「Tecno Core」を解説

FarPointe Outdoor Gearの製品名にもなっている「テクノウール(TecnoWool)」。化繊フリースの軽さとウールの防臭性をひとつの生地にまとめたウール混フリースです。「ウール混」と聞くと、メリノウール100%のベースレイヤーと何が違うのか、普通の化繊フリースと比べて何が良くなるのか、が気になるところだと思います。

この記事では、当店で取り扱っているTecnoWoolシリーズに使われている生地——イタリアPontetorto社の「Tecno Core」——について、公式が公開している組成の数値を整理しながら、ウールを約4割混ぜると何が変わるのか、そして何が苦手なのかを解説します。

先に結論

  • テクノウールの生地は、イタリアのフリース生地メーカーPontetorto社が作る「Tecno Core」。FarPointeがアメリカで縫製し、TecnoWoolシリーズとして展開しています
  • ウールの比率は生地の厚みによって32〜44%。当店取扱の60g/㎡はウール37%です
  • ウール混の利点は防臭・温度調節・肌ざわり。着替えを減らして連日着る縦走やロングトレイルで効いてきます
  • 苦手なのは濡れ。FarPointe自身が「アルファダイレクトほど撥水的ではない」と明記しており、乾いた〜中程度のコンディション向きです

テクノウールの正体:Pontetorto社の「Tecno Core」

FarPointe Outdoor Gear TecnoWool Cruiser テクノウールクルーザー 裾のブランドタグと生地の質感 - 山道具とULギアのお店 Ascend Lite

Pontetorto(ポンテトルト)はイタリアの生地メーカーで、TecnostretchやTecnowoolといったフリース系の機能生地シリーズを展開しています。FarPointeが使うのは、そのPontetortoが作るウール混のストレッチフリース「Tecno Core」です。

単なる混紡生地ではなく、構造は2層です。化繊のベースニットにメリノウールの房を編み込み、ウールが表側に出る作りになっています。よくあるウール・化繊混紡との違いはここで、表側と肌側で性格の異なる2つの面を持っています。

生地の中身を、FarPointeが公開している数値で整理します。Tecno Coreには3つの厚みがあります。

厚み 組成(公式値) Cruiser Mサイズ重量
60g/㎡(当店取扱) ポリエステル54%/ウール37%/ナイロン9% 4.4oz(約125g)
90g/㎡ ポリエステル57%/ウール32%/ナイロン11% 5.7oz(約162g)
120g/㎡ ポリエステル56%/ウール44% 6.1oz(約173g)

FarPointeはまとめて「ウール約40%」と呼んでいますが、正確には厚みごとに32〜44%と幅があります。当店で在庫しているのは一番薄い60g/㎡。フーディ型でもMサイズ約125gと、長袖シャツ並みの重量に収まります。

ウールを約4割混ぜると何が変わるか

化繊100%のフリースとの違いは、大きく3つです。

1. 臭いがこもりにくい

ウールの防臭性はベースレイヤーの世界ではよく知られたとおりで、Pontetorto自身も「メリノウールの複雑な繊維構造が、汗によって生じる臭いを吸着する」と説明しています。Backpackerのフィールドテストでも、TecnoWoolは数日続けて着てもほとんど臭わなかったのに対し、アルファダイレクトを含むポリエステル素材は1〜2日で臭い始めた、と報告されています。化繊フリースを着続けたときの臭いに覚えがある方なら、この差の意味が分かるはずです。着替えを持たずに連日着る縦走・ロングトレイル・旅では、軽さの数値に表れない大きな利点になります。

2. 温度調節の幅が広い

ウールは湿気を繊維の内部に取り込みながら表面をドライに保ちやすく、暑いときは熱がこもりにくく、寒いときは保温するという振れ幅の広さが持ち味です。Tecno Coreはそこに通気性の高いフリース編みを組み合わせているため、行動中に着たままでも汗が抜けやすく、「脱ぎ着の回数を減らせる中間着」という性格になっています。

3. 肌ざわりと見た目

繊維の混紡と染色によるメランジ(霜降り)調の表情と、なめらかな手触りもこの生地の特徴です。ウール混というと「チクチクしないか」が気になりますが、前述のとおりウールの房が出ているのは表側で、肌に当たる裏面はなめらかなニット面。Backpackerでもこの裏面を、アルファダイレクトより肌ざわりが良く、素肌に直接着るのに向いていると評価しています。当店在庫のBlackも、実物は表側がふんわりとやわらかな手触りで、単色ながらメランジの濃淡が見て取れます。

もうひとつ、意外と大きいのが透けにくさです。60g/㎡のTecnoWoolはアルファダイレクトの90g/㎡・120g/㎡よりも不透明。ベースの編み目が詰まり、表面のウールも密なためです。メッシュのように透けるアルファダイレクトに対して、テカリのない落ち着いた見た目とあわせて、下山後の移動や街でそのまま着られる理由になっています。

メリノウール100%と何が違うのか

ウールの機能だけを求めるなら100%にすればいい、と思うかもしれません。ポリエステルとナイロンを6割残しているのには理由があります。

  • 軽さと強度:ウールは繊維として細く弱いため、100%で軽い生地を作ると耐久性が犠牲になります。ポリエステル/ナイロンの骨格があることで、60g/㎡という薄さでも普段使いに耐える生地になっています
  • 乾きの速さ:ウールは吸湿量が多いぶん乾きは遅めです。化繊が主体のTecno Coreは、ウール100%より水を抱え込みにくく、行動中に乾かしやすくなります
  • ストレッチ:Tecno Coreは四方向に伸びる編みで、腕を上げてもつっぱりません。アルファダイレクトのストレッチは二方向で、TecnoWoolの方が動きやすいです。

役割の違いで整理すると、メリノ100%は肌に直接着るベースレイヤーで真価を発揮する素材、テクノウールはその上に重ねるフリース=中間着をウール寄りに味付けした素材です。競合ではなく、重ねて使える関係にあります。汗を普通に吸って運ぶTecnoWoolの性質と肌面のなめらかさから、素肌に直接着るレイヤーとしても使えます。ベースレイヤー兼中間着を1枚で済ませる使い方は、この生地の得意分野です。

苦手なこと:濡れと、洗濯時の毛抜け

アルファダイレクトは素材自体に撥水性があり、ほとんど水を含みません。一方テクノウールはウールが水分を吸うため、濡れたあとの水抜け・乾きの速さでは一歩譲ります。FarPointe自身も「乾いた〜中程度のコンディションで最も真価を発揮する」と明記しています。

ただし、濡れたら使いものにならないわけではありません。ウールは水分を繊維の内部に取り込むので、多少の汗なら肌面はドライなまま。汗で濡れたメリノウールのTシャツが不快になりにくく、そのまま着続けられるのと同じ理屈です。「濡れに弱い」というより「乾きの速さで譲る」と捉えるのが正確です。

もうひとつが洗濯時の毛抜けです。初回の洗濯では表面の毛がかなり抜けます(これはアルファダイレクトも同じです)。2回目以降も少しずつ抜けますが、抜ける量は回を追うごとに減っていきます。一方で、ベースの編み目はアルファダイレクトより詰まっているため、枝や棘に引っかけたときに伝線しにくいのはTecnoWool側の利点です。

雨に濡れながらの行動が続く行程や、大汗をかき続ける強度の高い行動が中心なら、水抜けに振り切ったAlpha Cruiser(Polartec® Alpha® Direct 90g/㎡)や、フルジップで温度調節しやすいFull-Zip Alpha Cruiser、厚手のSuper Cruiserのほうが向いています。逆に、天気を選べる山行で連日着たい・肌ざわりを優先したいならテクノウールです。

ちなみにTecnoWool CruiserとAlpha Cruiserは、Mサイズ公式値がどちらも約125gと同重量。「同じ軽さで、防臭のウール混か、水抜けのアルファダイレクトか」という分かりやすい二択になっているのがFarPointeのラインアップの面白いところです。公式は両者の保温力を数値では比較していませんが、Backpackerのフィールドテストでは、60g/㎡のTecnoWoolの保温力と通気性を90g/㎡のアルファダイレクトに近いと評価し、ウインドシェルと組み合わせれば氷点前後(約-1℃)の気温まで行動できたとしています。当店在庫のTecnoWool 2型(60g/㎡)とAlpha Cruiser(アルファダイレクト 90g/㎡)は、ちょうどこの比較の組み合わせに当たります。

当店で買えるテクノウールの2型

当店では、Tecno Core 60g/㎡を使った2モデルを取り扱っています。どちらもカラーはBlack、洗濯は冷水で洗って自然乾燥です。本記事の重量はいずれも公式値で、当店在庫の実測重量は計量でき次第、商品ページに追記していきます。

FarPointe Outdoor Gear TecnoWool Cruiser テクノウールクルーザー Black 60gsm 全体(前面) - 山道具とULギアのお店 Ascend Lite

TecnoWool Cruiser テクノウールクルーザー(Mサイズ約125g)は、フィット感のあるフード付きのプルオーバー。1枚で行動着から幕営地の防寒までこなす、シリーズの基本形です。

FarPointe Outdoor Gear TecnoWool Crewneck テクノウールクルーネック Black 60gsm 全体(前面) - 山道具とULギアのお店 Ascend Lite

TecnoWool Crewneck テクノウールクルーネック(Mサイズ約111g)は、フードをなくしたクルーネック型。フード付きのシェルやレインウェアを上に重ねる前提なら、フードが重ならないこちらが快適です。

まとめ

テクノウール(Tecno Core)は、化繊フリースの軽さ・乾きやすさ・強度を土台に、ウールの防臭性と温度調節性、そして肌ざわりを足した生地です。1泊2日以上の行程で「着替えを持たない」を成立させたい人にとって、Mサイズ約125gのウール混フリースは強力な選択肢になります。一方で濡れへの強さと乾きはアルファダイレクトに譲るので、行程の天気と発汗量で使い分けてください。

BackpackerではTecnoWoolを、Primaloft Active EvolveやTeijin Octaと並ぶ「アルファダイレクトに最も近い対抗素材のひとつ」と位置づけ、買うなら60g/㎡を勧めています。軽さの絶対値では依然アルファダイレクトに軍配が上がるものの、防臭・肌ざわり・透けにくさ・四方向ストレッチはウールを編み込んだTecnoWoolならではの持ち味です。

生地から道具を選ぶ話としては、ダイニーマ素材とは?ULTRAとRobicの比較もあわせてご覧ください。

FarPointe Outdoor Gear商品一覧 | ウェア一覧

ブログに戻る