ウルトラライトバックパックの選び方|16L〜68Lを重量・フレーム・積載量で比べる
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容量だけで選ぶと、たいてい失敗する
ウルトラライトのバックパックを探すとき、多くの方はまず容量から入ります。「テント泊なら50Lくらい」といった具合です。ところが同じ30Lでも、公称323gのモデルと745gのモデルが並んでいます。2倍以上の差です。
この差は品質の優劣ではありません。「どれくらいの重さを背負う前提で作られているか」の違いです。ここを取り違えると、軽さを求めて買ったパックが荷物の重さに負けて肩に食い込んだり、逆に必要以上に頑丈で重いパックを担ぐことになります。
この記事では、当店で扱っている12モデル(サイズ違いを含めると13通り)を容量・重量・フレーム構造・最大推奨荷重の4項目で並べ、どこで選び分けるのかを整理します。数値はすべて各ブランドの公称値です。
最初に決めるのは容量ではなく「荷物の重さ」
ULバックパックのスペックには、たいてい「最大推奨荷重」が書かれています。これ以上入れると背負い心地が破綻する、という上限です。当店の取扱モデルは、ここでおおまかに3つの階層に分かれます。
- 約9kgまで:フレームを持たない軽量モデル(Packrat、Nero Pro、Nero Classic)
- 約11kgまで:フレームは持たないものの、より高い荷重を想定した作りのモデル(Node、Dragonfly、Nexus)
- 約16〜18kgまで:アルミステーやカーボンフレームを内蔵したモデル(Circuit SV、Circuit、Arc Haul Ultra)
ここで見落とされがちなのが水と食料です。装備そのものの重さ(ベースウェイト)が5kgに収まっていても、水を2L持てばそれだけで2kg増えます。食料と水を足した状態で9kgを超えるなら、9kg級のフレームレスパックは選択肢から外れます。
つまり順番は「容量 → モデル」ではなく、「背負う総重量 → フレーム構造 → 容量」です。
フレームの有無が、重量と背負える重さの両方を決める
フレームレスのパックは、荷物そのものがパックの形を支えます。パッキングが上手くいけば非常に軽く快適ですが、重い荷物を入れると荷重が肩に集中します。一方フレーム入りのパックは、アルミステーやカーボンフレームが荷重をヒップベルトへ伝えるため、重い荷物でも腰で背負えます。その代わり構造部材の分だけ重くなります。
当店の取扱モデルでいえば、フレームなしは300〜800g台、フレーム入りは600g〜1,100g台。この境目が、おおよそ9〜11kgと16kgの分かれ目にあたります。
取扱モデル一覧(公称値)
| モデル | 容量 | 重量(公称) | フレーム | 最大荷重 |
|---|---|---|---|---|
| RIDGE MOUNTAIN GEAR One Mile MP | 約16L | 478g | なし(背面パッド内蔵) | — |
| ULA Node | 20L | 572g(ULTRA)/594g(Robic) | なし | 約11kg |
| ULA Packrat | 25.5L | 389g(ULTRA)/440g(X-Pac) | なし | 約9kg |
| Zpacks Nero Pro 30L | 30L | 323g | なし | 約9kg |
| ZimmerBuilt Pika Pack | 約30L | 347g(UltraGrid)/375g(EPX200) | なし | — |
| ULA 30L Dragonfly | 30L | 745g(Robic)/777g(ULTRA) | なし | 約11kg |
| ULA 36L Dragonfly | 36L | 802g(Robic)/879g(ULTRA) | なし | 約11kg |
| Zpacks Nero Classic | 40L | 325g | なし | 約9kg |
| Zpacks Nero Pro 40L | 40L | 361g | なし | 約9kg |
| ULA Nexus | 約40L | 632g | なし(背面パッド内蔵) | 11.3kg |
| ULA Circuit SV | 約48L | 1,015g(ULTRA)/1,063g(Robic) | カーボン+アルミステー | 約16kg |
| Zpacks Arc Haul Ultra 60L | 60L | 637g | カーボンArcフレーム | 最大約18kg |
| ULA Circuit | 68L | 1,043g(ULTRA Grey)/1,091g(25th Green) | カーボン+アルミステー | 約16kg |
※ 最大荷重は各ブランドの最大推奨荷重です(「—」は公称値の記載がないモデル)。Nero Pro・Nero Classic の重量は付属シットパッド(約28g)を除いた値です。Nero Classic はさらに付属ウェビングベルト(約34g)も除いています。Nexus は着脱パーツを外した最小構成では約533gになります。One Mile MP の重量は取り外し式ウエストベルトを含んだ値です。Nero Pro は30Lと40Lが同じ商品ページのサイズ違いです。Arc Haul Ultra 60L の重量はトルソーMedium・スタンダードストラップ・ベルトMediumの構成の値です。
容量帯別の選び分け
16〜25L:日帰りと、街でも使うサイズ
NodeとPackrat、そして国内ブランドRIDGE MOUNTAIN GEARのOne Mile MPがこの帯です。NodeとPackratはどちらも15インチ対応のラップトップスリーブを内蔵していて、山でも通勤・出張でも使えます。
選び分けは重さです。Packratは25.5Lと容量が大きく389gと軽いものの、最大推奨荷重は約9kg。Nodeは20Lと小さく572gと重い代わりに、ロールトップで容量を調整できて約11kgまで対応します。軽い荷物で容量が欲しいならPackrat、重くなる日があるならNodeです。
なおNodeはヒップベルトが標準では付属せず、取り付けループのみで別売です。

One Mile MPは約16L・478gと数字の上では中間ですが、性格が違います。背面パッドと3層構成のショルダーパッド、取り外し式のウエストベルトという「担ぐための構造」を最初から備えたうえでの478gで、街ではベルトを外し、山では付けて荷重を腰に逃がす使い分けができます。ノートPCを収められる内部スリーブもあり、3モデルのなかではいちばん日常寄りの選択肢です。兵庫県豊岡市の縫製工場で作られる日本製という点も、海外ブランド中心の当店では異色です。
30〜36L:軽さを取るか、使い勝手を取るか
ここがいちばん差の出る帯です。Nero Pro 30Lは323g、Pika Packは347g、対して30L Dragonflyは745g。2倍以上の開きがあります。
理由は構造です。Nero ProとPika Packはロールトップの一気室で、荷物は上から出し入れします。トレイル向けに割り切った作りです。一方Dragonflyは前面が大きく開くフロントローディングで、ラップトップスリーブ、内部コンプレッションストラップ、パッド入り背面を備えています。外寸も約47×28×18cmと機内持ち込みサイズに収まり、旅の道具としても使えます。この使い勝手の分が重量差です。

トレイルで1gでも削りたいならNero ProかPika Pack、山と旅を1つで済ませたいならDragonfly。ここは好みではなく用途で決まります。
40〜48L:3シーズンのテント泊の主戦場
Nero Classic 40Lが325g、Nero Pro 40Lが361g、Nexusが632g、Circuit SVが1,015g。同じ「40L台」でも3倍以上の幅があります。
Nero Proは全シームテープ処理を施したUltra 100Xの防水ボディ、Nero Classicも同じUltra 100Xのフレームレス構成で、どちらも推奨積載は約9kg。すでに装備を絞り込んでいる方向けです。Nexusはフレームを持たないながら背面パッドを内蔵し、ヒップベルトポケット付きで約11.3kgまで。Circuit SVはカーボンとアルミステーのハイブリッドフレームを持ち、約16kgまで背負えます。

「まだベースウェイトが7〜8kgある」「食料を4日分持つ日がある」なら、無理に300g台を狙わずCircuit SVを選んだほうが結果的に楽です。
60L以上:ロングトレイルと冬季
Arc Haul Ultra 60Lが637g、Circuit 68Lが1,043g。Arc Haulはカーボン製のアーチフレームで背中に通気の隙間を作る構造で、快適積載14〜16kg・最大18kg。Circuitはカーボンファイバーとアルミステーを組み合わせたフレームを内蔵し、最大約16kgです。

ここで気づいてほしいのが、Circuit SV(48L・1,015g)とCircuit(68L・1,043g)の重量差がわずか28gしかないことです。「小さいほうが軽い」は必ずしも成り立ちません。同じフレーム構造を使う以上、容量を削っても重量はあまり減らないからです。48Lか68Lかで迷っているなら、重量ではなく「エクステンションカラーまで使い切る日があるか」で決めてください。
同じ容量でも重量が違うもう1つの理由:生地
構造と並んで効いてくるのが生地です。ULTRAには100X・200X・400Xといったグレードがあり、数字が大きいほど厚手で摩耗に強くなります。Neroが300g台に収まっているのはUltra 100Xという薄手のグレードを使っているためで、Circuitの400X/200X併用とは想定している使い方が違います。
ULAのULTRAとRobicの重量差、DCF(ダイニーマ・コンポジット・ファブリック)の特性については、それぞれ別記事で詳しく比較しています。
カタログ値ではわからない部分
スペック表は便利ですが、実物を触ると書かれていないことが出てきます。
たとえばNexusのヒップベルトポケットは、当店で実物を確認したところ大型のスマートフォンは収まりませんでした。公称スペックだけを見ると入りそうに読めるところです。こうした点は商品ページに記載していますのでぜひご覧ください。
まとめ:3つの質問で絞り込む
- 水と食料を含めた総重量は何kgか。 9kg以下なら最軽量のフレームなし、11kg程度までなら中間の帯、それ以上ならフレーム入り。
- 山だけで使うか、旅や通勤でも使うか。 山だけならロールトップの軽量モデル、兼用ならフロントローディングでラップトップスリーブのあるモデル。
- 最大何泊分の食料を担ぐ日があるか。 その最大値で容量を決める。ふだんの荷物量で選ぶと、いちばん重い日に破綻します。
この3つが決まれば、上の一覧表から候補は2〜3モデルまで絞ることができます。こちらの記事がバックパック選びの参考になれば幸いです。