ULTRAとRobic、軽いのはどっち?ULAバックパックの生地をモデル別に比較
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ULA Equipmentのバックパックを選ぶとき、多くのモデルで「Ultra」と「Robic」のどちらかを選ぶことになります。カタログには「重量比で鋼鉄の15倍の強度」「420Dナイロンの2倍の耐摩耗性」といった言葉が並び、Robicより1〜3割高い価格が設定されています。当然ULTRAのほうが軽いのだろう——そう考えて選ぶ方がほとんどだと思います。
ところが、公式スペックを1モデルずつ並べていくと、軽いほうがモデルによって入れ替わります。しかも入れ替わりには明確な理由があり、それを知っていると選び方が変わります。この記事では、当店が扱っているULAのバックパック各モデルについて、生地ごとの公称重量を並べて整理しました。
先に結論
- ULTRAは1種類ではない。200X・400X・400TXで目付が132/178/244 g/m²と大きく違う
- ULTRA 400TXを使うモデル(30L・36L Dragonfly)は、Robic版のほうが軽い
- ULTRA 400Xや200Xを使うモデル(Node・Circuit SV・Spare Tire・Packrat)は、ULTRA版のほうが軽い
- 重量以外にも差がある。ULTRAは「防水」、Robicは「高い耐水性」と明確に区別されている
ULTRAは1種類ではない
まず前提として、ULAが「Ultra」と呼んでいる素材は Challenge Sailcloth社のULTRAファミリーで、複数のグレードがあります。共通しているのは、UHMWPE(超高分子量ポリエチレン)と高強力ポリエステルを織り込み、RUVフィルムをラミネートした構造。耐水圧はいずれも200 psi以上です。
違うのは目付、つまり生地そのものの重さと、裏地の作りです。公式が公開している数値を整理します。
| 生地 | 目付 | 耐摩耗性 | 引裂強度 |
|---|---|---|---|
| ULTRA 200X | 約132 g/m² | 4,400サイクル | 103/133 lb |
| ULTRA 400X | 178 g/m² | 8,800サイクル | 188/161 lb |
| ULTRA 400TX | 244 g/m² | 8,800サイクル以上 | 148/162 lb以上 |
| EcoPak EPX200 | 200 g/m² | 500サイクル | 27/25 lb |
| UltraStretchメッシュ | 186 g/m² | 20,000サイクル以上 | — |
注目したいのは400TXが400Xより37%も重いことです。TXは400Xと同じ400デニールのUltra-PEを使いながら、内側に白いタフタの裏地を貼った仕様です。

パックの中が見やすくなり、内部の耐久性も上がりますが、その分だけ重くなります。400TXは「軽さ」ではなく耐久性、「内部の視認性」を高める生地だといえます。
もうひとつ意外な数字が、EcoPak EPX200の耐摩耗性500サイクルです。ULTRA 200Xの4,400サイクルに対して約9分の1。EcoPakは100%リサイクルポリエステルという環境面の価値がはっきりした素材で、防水性も十分にありますが、擦れへの強さという点ではULTRAと同列に語るのは正確ではありません。
モデル別の重量比較
当店が扱っているULAのバックパックを、生地違いで並べたものが以下です。数値はいずれも公称重量です。
| モデル | Robic系 | ULTRA系 | 軽いのは |
|---|---|---|---|
| 30L Dragonfly | 約745g | 400TX 約777g | Robic 32g差 |
| 36L Dragonfly | 約802g | 400TX 約879g | Robic 77g差 |
| Node | 約594g | 400X 約572g | ULTRA 22g差 |
| Circuit SV | 約1,063g | 約1,015g | ULTRA 48g差 |
| Spare Tire | 133g | 200X 113g | ULTRA 20g差 |
| Packrat | X-Pac 約440g | 200X 約389g | ULTRA 51g差 |
Robic側のデニールはモデルによって異なり、DragonflyとCircuit SVが400D、NodeとSpare Tireは420Dです。PackratのみRobicの設定がなく、X-Pac VX21との比較になります。
このうちSpare Tireは、当店の在庫を実際に計量しています。結果はRobic 実測133.3g/Ultra 実測119.1g。Robicはほぼ公称どおり、Ultraは公称113gより約6g重い結果でしたが、UltraのほうがRobicより軽いという序列は実測でも変わりません。実測値と計量写真は商品ページにも掲載しています。

なぜDragonflyだけ逆転するのか

理由1:400TXの目付
Dragonflyだけが、ULTRAファミリーの中でもっとも重い400TXを使っています。244 g/m²は、同じ400デニールの400X(178 g/m²)より66 g/m²重い計算。パック1台に使う生地の面積を考えれば、これだけで数十グラムの差になります。
理由2:止水ジッパーの重量
Dragonflyは、ULAのラインアップで最もジッパーの多いモデルです。前面が大きく開くフロントローディング構造で、本体を一周する長いジッパーに加え、トップポケットとオーガナイザーが付きます。そしてUltra版はこれをすべてYKK AquaGuardの止水ジッパーに置き換えています。止水ジッパーは防水フィルムをテープに貼り合わせた構造のため、標準のYKKより重くなります。
同じくUltra版で止水ジッパーを使うNodeは、ジッパーがフロントポケット1か所だけ。だから生地の軽さがそのまま効いて、ULTRA 400X版のほうが22g軽く仕上がります。ジッパーの多いモデルほどUltra版の重量メリットが消える、という見方をすると、この逆転は理解しやすくなります。
重量以外の差:「防水」と「耐水」の違い
重量だけを見ていると見落とすのが、防水性の扱いです。公式サイトでは生地ごとにはっきり区別されています。
- ULTRA:防水(耐水圧200 psi以上)
- X-Pac:高い防水性
- EcoPak EPX200:防水(耐水圧200 psi以上)
- ULA 400 Robic:高い耐水性(PFASフリーDWR+3層PUコーティング)
Robicだけが「防水」ではなく「耐水」の扱いです。ラミネート系の生地はフィルム層そのものが水を止めるのに対し、Robicは織物にコーティングを重ねた構造だからです。

実用上、短時間の雨や小雨であればRobicでも中身は守られます。ただし数日にわたって雨が続く行程では、生地そのものが水を含むかどうかの差が効いてきます。公称重量の数十グラム差より、濡れて含んだ水の重さのほうが大きくなる場面もあるという点は、選ぶときに頭に入れておく価値があります。
なお、どちらの生地であっても縫い目とジッパーからの浸水は避けられません。UL系のパックはシームシールを施さないのが一般的で、パックライナーやドライバッグの併用が前提です。生地で防水性を追いかけるより、中身を包むほうが確実で、重量増も小さく済みます。
では、どちらを選ぶか
Robicが向いている場合
- Dragonflyを検討していて、軽さを優先する場合。前述のとおりRobicのほうが軽い
- 色を選びたい場合。ULA 400 Robicは生地として11色が用意されており、ULTRAは各グレード2〜4色です(実際の入荷色はモデルごとに異なります)
- 週末から数日の縦走が主戦場で、数か月にわたる連続使用ではない場合
ULTRAが向いている場合
- ロングトレイルのスルーハイクなど、数週間から数か月にわたって同じパックを酷使する場合。公開されている耐摩耗性は4,400〜8,800サイクル
- 雨が数日続くような行程で、生地自体の吸水を避けたい場合
- 薮や岩に擦れるルートを多く歩く場合。フィルムラミネートの分だけ表面の傷に強い
なおCircuit(68L)は、Robic版とULTRA版(400X/200X併用)の2素材展開で、公称重量はRobic版 約1,092g/ULTRA版 約1,043gと、こちらもULTRA版が軽いモデルです。当店ではULTRA版の標準モデル(Grey)と、創業25周年記念の限定モデル(ULTRA 400X全面・グリーン・約1,091g)の2仕様を取り扱っています。NexusはUltraGridとULTRA Xの2択と、モデルによって選択肢の構成が異なります。
UltraGrid・X-Pac・EcoPakの位置づけ
ULAはこの2つ以外の生地も使い分けています。
- UltraGrid 210D(Nexus):リサイクルナイロンのダブル200Dグリッド構造。Bluesign認証・C0 DWR・1500mm PU防水バッキングを備えます。ただしNexusは素材別の公称重量が分かれていないため、実重量差は公表されていません
- X-Pac VX21(Packrat):ヨットの帆布由来の積層生地で、210Dナイロン表地・X-PLY補強・PETフィルム・タフタ裏地の4層構造。ULTRAより重い一方で、色数は圧倒的に豊富です
- EcoPak EPX200(Polarity Magnetic Pocketなど):100%リサイクルポリエステル。防水性は十分にありますが、耐摩耗性は500サイクルとULTRA 200Xの約9分の1です
まとめ

「ULTRA=軽い」は半分正しく、半分間違いです。正確には、ULTRA 200Xと400XはRobicより軽く、400TXはRobicより重い。そこにジッパー仕様の差が乗って、モデルごとの逆転が起きます。
購入前に確認すべきなのは、そのモデルのUltra版が200X・400X・400TXのどれを使っているかという一点です。そして、軽さではなく防水性と耐摩耗性を目的にするなら、400TXを選ぶ判断にも十分な根拠があります。当店の商品ページには全モデルの素材と公称重量を記載していますので、比較の際にご活用ください。
UHMWPE系の生地全般についてはダイニーマ素材とは?もあわせてご覧ください。ULTRAはDCF(ダイニーマ・コンポジット・ファブリック)とは別の構造の素材ですが、原糸のUHMWPEは共通です。
生地だけでなくモデル選び全体の考え方は、ウルトラライトバックパックの選び方|16L〜68Lを重量・フレーム・積載量で比べるで容量帯別に整理しています。