Enlightened Equipmentの化繊(Climashield APEX)とダウンの違い|Revelation APEX・Torrid・Outcastをどこに使うか
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Enlightened Equipment(EE)のキルトとウェアには、ダウンモデルと、化繊のClimashield APEXを使ったモデルがあります。Revelationにはダウン版とRevelation APEXがあり、ウェアはTorrid JacketやOutcast JacketをはじめすべてAPEXの化繊インサレーションです。どちらにするか迷ったときに、当店がいちばん大切だと考えているのは「使ったあとに乾かせるかどうか」です。ダウンは濡れるとロフトが潰れて保温力が落ち、山の中ではなかなか乾かせません。化繊は湿っても保温力が落ちにくく、乾きも速いのが持ち味です。そのぶんダウンより少し重く、収納も大きくなります。言いかえると、化繊を選ぶというのは「濡れたときの保険」を重さで買うことなのだと思います。この記事では、その保険をどこに掛けると効きがよく、どこは掛けなくても大丈夫なのかを、EEのAPEXシリーズ15アイテムの実数をもとに整理します。先に結論をお伝えすると、体の「濡れやすい場所」から順に化繊にしていくと、重さの増え方を抑えながら濡れの不安を減らせます。
先に結論:濡れやすい場所から化繊にする
- まず寝具から。テント内の結露と汗を一晩中吸い続け、連泊では乾かす機会がほとんどありません。しかも夏向けの50°F帯ではRevelation APEXのほうが同サイズのダウン版より軽いので、化繊にしても重さの負担がない場所です。収納の小ささを取るならダウンという選び方も残ります。
- 次に末端。足・頭・手は汗と結露でいちばん湿りやすく、体幹より先に冷えを感じる場所です。Torrid Booties・Torrid Hood・Torrid Mittsは面積が小さいぶん、化繊にしても増える重さは数十グラムで済みます。
- それから下半身。テントの床に触れ続けるパンツは、上着より先に湿ってきます。Torrid Pantsが候補です。
- 上半身は最後でも。雨や汗から守りやすく、ダウンのままでも十分に成り立つ場所です。それでも化繊にするなら、羽織る保温着のTorrid Jacketか、着たまま動くOutcast Jacketかを、使い方で選び分けます。
「全部化繊」でも「全部ダウン」でもなく、乾かせない場所だけ化繊にする。この記事でお伝えしたいのは、この考え方です。
Climashield APEXとダウンの違いは「濡れ」にあります
中綿の役割は空気を抱え込んで体温を逃がさないことで、ダウンも化繊も同じです。違いが出るのは水分を含んだときです。ダウンは濡らすと保温力が失われ、山中では乾かせません。Climashield APEXは連続長繊維の化繊中綿で、EEの商品ページでは「濡れても保温力の8割を保つ」と表現されています。乾きも速く、行動中にザックの外に括って乾かすこともできます。
手入れのしやすさも違います。ダウンは専用洗剤と長い乾燥工程が要りますが、APEXはアウトドアギア用の洗剤でぬるま湯の押し洗い、熱なしの乾燥で済みます。長期保管は圧縮しない状態で、という点は共通です。構造面では、EEのAPEX製品はいずれも縫い抜き(ソーンスルー)の縫製を避けていて、ステッチ由来のコールドスポットができにくくなっています。
裏を返すと、濡れる心配がない場面では、化繊をわざわざ選ぶ理由はあまりありません。週末の山行が中心で毎回自宅で干せるなら、軽くて小さいダウンのままで困ることは少ないはずです。化繊が力を発揮するのは、長期縦走や車中泊で連続して使うとき、沢沿いや樹林帯の結露の多いテント場に泊まるとき、梅雨や秋雨の時期に出かけるときといった、「乾かせない前提」の行程です。日本の3シーズンには、こうした場面がひととおり揃っています。
Revelation APEXとダウン版Revelationの違い:重さの差は温度帯で逆転する
「化繊は重い」というイメージは、いつでも当てはまるわけではありません。Revelation APEXは、EE定番のダウンキルト「Revelation」の中綿をClimashield APEXに置き換えたモデルで、シルエットと開閉機構はダウン版と同じです。当店で扱うダウン版とAPEX版を、同じRegular / Regularサイズで並べたのが下の表です。
ダウン版の列は、当店で扱う850FPのRegular / Regularの商品名と重量です。30°Fと20°Fのダウン版は商品名どおりドラフトカラー付きのモデルで、その重量を載せています。APEXシリーズにはドラフトカラーの設定がありません。
| 温度帯 | 対応温度 | APEX版(Regular / Regular) | ダウン版(850FP・Regular / Regular) | 差 |
|---|---|---|---|---|
| Revelation APEX 50°F | 10°C | 約336g | Revelation 50°F:約348g | APEXがわずかに軽い |
| Revelation APEX 40°F | 5°C | 約519g | Revelation 40°F:約443g | ダウンが約77g軽い |
| Revelation APEX 30°F | -1°C | 約703g | Revelation 30°F ドラフトカラー:約567g | ダウンが約137g軽い |
| Revelation APEX 20°F | -6°C | 約887g | Revelation 20°F ドラフトカラー:約661g | ダウンが約226g軽い |
50°F帯ではAPEXのほうが軽く、40°F帯で約77g、30°F帯で約137g、20°F帯で約226gと、温度帯が下がるほどダウンの軽さが効いてきます。中綿の量が増えるほど、同じ保温力を出すための化繊の重さが、ダウンとの差になって表れてくるためです。
ここから言えることは2つあります。ひとつは、夏のキルトは化繊にしておくと安心だということ。Revelation APEX 50°Fは重さで見劣りせず、結露で湿っても保温力が戻り、洗濯も気楽です。一方でダウン版のRevelation 50°Fは収納が小さくまとまり、カラーもNavy・Burnt Orange・Forestの3色から選べます。重さでは並ぶので、乾かせる行程で荷物の容積を詰めたい方はダウン版が向いています。もうひとつは、寒い温度帯ほど「濡れの保険」にかかる重さが増えるということ。20°F帯の約226gは、Torrid Jacket1枚分に近い重さです。氷点下の連泊が多い方にはその価値が十分ありますが、週末の冬山で帰宅すれば干せるという方なら、寝具はダウンのまま末端だけ化繊にするほうが軽く済むかもしれません。
EEの対応温度はEN規格の下限で、平均的な男性が眠れる温度です。女性の方や寒がりの方は、ひとつ下の温度帯がおすすめです。サイズはレングス(Regular 身長168〜183cm/Long 183〜198cm)とワイズ(Regular 胴囲122〜142cm/Wide 137〜157cm)の組み合わせで、胴囲は腕を含めて体のいちばん太い部分を寝る姿勢で一周した寸法です。ダウン版のRevelationと、フットボックスが固定式のEnigmaの違いはEnigma vs Revelation Sleeping Quilt比較で解説しています。
Torrid Booties・Hood・Mitts:末端を化繊にするのが、いちばん効きがいい

足・頭・手は、汗と結露でいちばん湿りやすく、体幹より先に冷えを感じる場所です。EEはここに、Torrid Jacketの2倍にあたる4oz/yd²のAPEXを入れています。面積が小さいので、中綿を2倍にしても重さは数十gにしかなりません。
Torrid BootiesはS 約55g、M 約60g、L 約67g、XL 約72g。キルトはフットボックスが袋状になっていても寝袋のように足を包む厚みはなく、末端から冷えを感じやすいので、就寝時に履いておくとキルトの温度帯を1段階下げたぶんの不安を足元で補えます。濡れた靴下を脱いでこれに履き替えて足を乾かす、という使い方もよく聞きます。サイズは日本の靴サイズでS 22.0〜24.0cm、M 24.0〜26.0cm、L 26.0〜27.5cm、XL 27.5〜30.0cm。公式の注意書きにあるとおり、シェルターの外を歩く用途には向きません。
Torrid HoodはM 約64g、L 約69g、XL 約73g(頭囲 M 51〜56cm/L 56〜61cm/XL 61〜66cm)。額から後頭部にショックコードが通っていて頭に固定でき、目の上まで下ろして光を遮ることもできます。フード付きのジャケットを着て寝ても、フードは首の動きでずれてしまいがちなので、朝までずれない専用のフードは意外と別物です。Torrid Mittsはフリップトップ付きでM 約70g、L 約85g、XL 約92g。手のひら側は70Dのリップストップナイロンで、ミトンを外さずに指先だけを出してコードロックやジッパー、スマートフォンの操作ができます。
「ジャケットを着ているのに足が冷える」というときは、ジャケットを厚くするよりBootiesを足すほうが軽く解決できます。ダウンを主力にしている方でも、末端の3点だけ化繊にする組み方は、増える重さに対して得られる安心がいちばん大きい選択だと思います。
Torrid Pants:下半身はテントの床で湿ります
テント内は結露で湿りやすく、座ったり寝転んだりするうちにパンツは床に触れ続けます。ダウンパンツはこの環境で膨らみを失いやすく、上着より先に湿ってくる場所です。Torrid Pantsは2oz/yd²のAPEXを入れたパンツで、メンズはS 約157g、M 約175g、L 約185g、股下はS 30インチ(約76cm)、M・L 32インチ(約81cm)。Women's Torrid PantsはS 約147g、M 約164g、L 約175g、股下はS 28インチ(約71cm)、M・L 30インチ(約76cm)です。ウエストはショックコードで絞れ、裾は広めの開口でトレイルシューズを履いたまま脱ぎ着できます。行動中に穿くパンツの上からそのまま重ねられ、キルトの中で穿いたまま寝れば下半身の保温を上乗せできるので、キルトの温度帯を1段階下げる余地も生まれます。
Torrid JacketとOutcast Jacketの違い:羽織るか、着たまま動くか

上半身はレインウェアで雨から守りやすく、汗をかく行動中は脱いでいることも多いので、4か所の中ではいちばん濡れにくい場所です。ダウンのままでも十分に成り立ちます。それでも化繊にするなら、EEの化繊ジャケットはTorridとOutcastの2系統に分かれるので、考えるのは「羽織るのか、着たまま動くのか」という点です。
Torrid Jacketは10D(一部7D)のシェルと最小限の構成で、XS 約218g、S 約235g、M 約251g、L 約270g、XL 約287g。行動中はザックにしまい、休憩や幕営時に羽織る保温着で、フードとハンドウォーマーポケットにも中綿が入っています。同じ中綿を1/2ジップとカンガルーポケットのプルオーバーにしたTorrid Pullover(S 約229g〜XL 約286g)は、前を全開にできない代わりに生地の合わせ目が減って風の抜けが少なく、着たまま換気で調節したい方に向いています。レディースは、フルジップのWomen's Torrid Jacket(S 約216g〜XL 約267g)とWomen's Torrid Pullover(S 約203g〜XL 約251g)があります。いずれもレイヤリングを前提に半サイズ大きめの作りなので、単体で着るならワンサイズ下も選択肢に入ります。
Outcast Jacketは同じ2oz/yd²のAPEXながら、シェルは表地30D・裏地20D。脇から腕、腰にかけてPolartec®ハードフェイスフリースの伸縮パネルを配し、ロック付きのYKK® #3 Vislon®ジッパーとドロップテールを備えた、着たまま行動するための一着です。重量はMサイズで当店実測366.5g、S 約349g、L 約403g。寒い時期の登り始め、風の強い稜線、クライミングのビレイ中、冬の自転車通勤など、汗をかきながら体を動かす場面でも脱ぎ着せずに通せます。レディースはWomen's Outcast Jacket(S 約305g〜XL 約385g)。Torridのようなゆとりのないトリムフィットなので、サイズはEE公式の身体寸法表を目安に選んでください。
ザックの重さを最優先するスルーハイクならTorrid、雪山や岩場、自転車で着続けるならOutcast。Torrid JacketのXS 約218gとOutcastのMサイズ当店実測366.5gの差が、軽さと、動きやすさ・耐久性の交換条件になります。
比較表:EEの化繊インサレーション15アイテム
重量はサイズ別のメーカー表記です。Outcast JacketのMサイズのみ当店実測です。
| 場所 | モデル | 中綿(Climashield APEX) | シェル | 重量(サイズ別・メーカー表記) |
|---|---|---|---|---|
| 寝具 | Revelation APEX 50°F(10°C) | 化繊キルト | 10Dナイロン | Regular / Regular 約336g/Regular / Wide 約355g/Long / Wide 約379g |
| 寝具 | Revelation APEX 40°F(5°C) | 化繊キルト | 10Dナイロン | Regular / Regular 約519g/Regular / Wide 約551g/Long / Wide 約589g |
| 寝具 | Revelation APEX 30°F(-1°C) | 化繊キルト | 10Dナイロン | Regular / Regular 約703g/Regular / Wide 約747g/Long / Wide 約800g |
| 寝具 | Revelation APEX 20°F(-6°C) | 化繊キルト | 10Dナイロン | Regular / Regular 約887g/Regular / Wide 約942g/Long / Wide 約1,010g |
| 末端 | Torrid Booties | 4oz/yd² | 10Dナイロン | S 約55g/M 約60g/L 約67g/XL 約72g |
| 末端 | Torrid Hood | 4oz/yd² | 10Dナイロン | M 約64g/L 約69g/XL 約73g |
| 末端 | Torrid Mitts(フリップトップ付き) | 4oz/yd² | 甲側20D/手のひら側70Dリップストップナイロン | M 約70g/L 約85g/XL 約92g |
| 下半身 | Torrid Pants(メンズ) | 2oz/yd² | 10Dナイロン | S 約157g/M 約175g/L 約185g |
| 下半身 | Women's Torrid Pants(レディース) | 2oz/yd² | 10Dナイロン | S 約147g/M 約164g/L 約175g |
| 上半身(羽織る) | Torrid Jacket(メンズ) | 2oz/yd² | 10Dまたは7Dナイロン | XS 約218g/S 約235g/M 約251g/L 約270g/XL 約287g |
| 上半身(羽織る) | Women's Torrid Jacket(レディース) | 2oz/yd² | 10Dナイロン | S 約216g/M 約236g/L 約250g/XL 約267g |
| 上半身(羽織る) | Torrid Pullover(メンズ) | 2oz/yd² | 10Dナイロン | S 約229g/M 約248g/L 約266g/XL 約286g |
| 上半身(羽織る) | Women's Torrid Pullover(レディース) | 2oz/yd² | 10Dナイロン | S 約203g/M 約219g/L 約235g/XL 約251g |
| 上半身(着たまま動く) | Outcast Jacket(メンズ) | 2oz/yd² | 表地30D/裏地20Dナイロン、Polartec®伸縮パネル | S 約349g/M 366.5g/L 約403g |
| 上半身(着たまま動く) | Women's Outcast Jacket(レディース) | 2oz/yd² | 表地30D/裏地20Dナイロン、Polartec®伸縮パネル | S 約305g/M 約329g/L 約360g/XL 約385g |
組み合わせの実例3案

案1:夏の低山・沢沿いの連泊なら、寝具だけ化繊に
Revelation APEX 50°F(Regular / Wide 約355g)だけを化繊にして、上着は手持ちのダウンのままという組み方です。この温度帯ではダウン版より軽いので、化繊にすることで重さが増えることはありません。結露で表面が湿っても保温力が戻り、行動中にザックの外に括って乾かせます。上半身は暑くて脱いでいる時間が長く、濡らす機会も少ないので、ここまで化繊に替えなくても大丈夫です。乾かせる行程で、収納をできるだけ小さくしたい方は、ダウン版のRevelation 50°Fのほうが向いています。
案2:3シーズンを1セットで通すなら、寝具と末端を化繊に
Revelation APEX 40°F(Regular / Wide 約551g)に、Torrid BootiesとTorrid Hoodを足す組み方です。日本の3シーズンは梅雨・秋雨・沢沿いの結露と、寝具が湿る場面がひととおり揃っているので、「1枚しか持たない」なら化繊の40°Fは現実的な選択肢のひとつだと思います。冷え込む夜はBootiesとHoodで末端を補えば、温度帯を1段階下げたキルトで対応できる場面が増えます。フードのないキルトの頭部の保温はHoodが受け持ちます。上着はTorrid Pulloverでも手持ちのダウンでも構いません。
案3:氷点下付近は寝具をダウンに戻して、末端と下半身を化繊に
30°F帯ではダウン版が約137g軽く、20°F帯では約226g軽くなります。週末の山行で帰宅後に干せるなら、寝具はダウンのRevelation 30°F ドラフトカラーのままにして、湿りやすい末端3点とTorrid Pantsを化繊にするほうが、全体の重さは軽く収まります。帰宅後に干せる前提で頭まで軽く済ませたい場合は、Torrid Hoodの代わりに950FPダウンのZpacks Down Hood(当店実測38.6g)を使う手もあります。逆に、氷点下の連泊が続く行程で寝具を干せないなら、Revelation APEX 30°F(Regular / Wide 約747g)かRevelation APEX 20°F(Regular / Regular 約887g)で「濡れの保険」を掛けておく価値があります。APEXにはドラフトカラーがないので、首元の冷気が気になる場合はネックゲイターやTorrid Hoodを併せると安心です。
まとめ
EEの化繊インサレーションは「濡れたときの保険」を重さで買う道具です。保険が要るのは乾かせない場所だけなので、寝具、末端、下半身、上半身の順に、湿りやすい場所から化繊にしていくと、増える重さに対して得られる安心がいちばん大きくなります。夏のキルトはRevelation APEX 50°Fのほうがダウン版より軽いので、重さで迷う必要はなく、収納の小ささを取るかどうかで決められます。寒い温度帯ほどダウンとの差が広がるので、そこは「連泊で干せないか」で決めるのがよさそうです。上半身はいちばん濡れにくい場所なので最後で構いません。化繊にするなら「羽織る」Torrid Jacketか「着たまま動く」Outcast Jacketかを、使い方で選んでみてください。
行動中に着続ける薄手の保温着としてはフリース系という選択肢もあり、ウール混の軽量フリース生地についてはテクノウールの解説記事にまとめています。下半身なら、Octa®フリースのZpacks Octa Fleece Camp Pants(当店実測145.7g・Mサイズ)をハイキングパンツの下に重ねておく方法もあります。